①言葉のマジックとは~詭弁・誤謬・屁理屈~

現代社会はインターネットやSNSの普及により、様々な意見や議論が飛び交っています。
しかし、その意見の中には自分の意見を正当化したり、相手をいい負かそうとする、「トンデモ論」を見かけることも少なくありません。
そこで、ここではそのトンデモ論の正体を探るべく、「言葉」に着目して、言葉の世界に存在する真偽について解説していきます。

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言葉のマジックとは

ここでいうマジックとは「手品」と同じ意味だと考えてください。
例えば観客に1枚のカードを選んでもらい、そのカードを当てる手品、手の中でコインを消したり、再び出現させたりする手品、人の身体が宙に浮いたり、突然消えたりするなど、そのパフォーマンスは様々です。
しかし、このような不思議な手品は、決してマジックショーの世界だけでなく、議論や意見交換の世界にも存在しています。
例えば「論点のすり替え」という言葉のマジックでは、現在議論している内容の中心となる「論点」をうまくすり替えることで、相手の主張を弱めたり、焦点をはぐらかしたりします。
その結果、私たちは正しい意見を間違いだと感じたり、間違った意見を正しいと感じたりしてしまうのです。
このような言葉のマジックは、「詭弁(きべん)」や「誤謬(ごびゅう)」、または「屁理屈」などと呼ばれており、大学で特定の学部を専攻しない限り、学ぶ機会はほとんどありません。

言葉のマジックを学ぶ必要性

以前までの主要媒体であったテレビやラジオ、本や雑誌などは一定の正確さが求められており、情報の裏付けはもちろん、言葉の使い方や論理展開にも一定の配慮がなされていました。
しかし、SNSやネット上の掲示板では、情報の正確性の精査が行われず、論理的な論じ方を知らない一般人が「それらしく思える適当な論じ方」で自由に意見を主張しています。
特にX(旧Twitter)やYahoo掲示板では、論理の成り立っていないトンデモ主張にたくさんの「いいね」が押されていることも多く、信頼性の高かったはずのテレビも、知識のない芸能人コメンテーターが登場したことで、情報の信頼性が低下しています。
その結果、誤った意見や主張を、多くの人が信じてしまっているのです。
そのこで、現代社会を生きる私たちには、言葉のマジック(詭弁・誤謬・屁理屈)を理解し、そのトリックを見破る力が必要とされているのです。

マジック(手品)と言葉のマジックの違い

カードやコインを使った手品と、言葉のマジックには大きな違いがあります。
それは、通常の手品は「演じている側」も「見ている側」も、それが手品だと分かっている、ということです。
手品を演じる人は道具などを使い、見ている人に「今から手品をします」という意思表示をした後に手品を行います。
しかし、言葉のマジックは「話す人」が自分の主張が相手を騙すマジックだと気付いていないことがあり、「聞いている人」もその言葉のトリックに気付かないまま議論が終わってしまうケースが多いのです。
そのため、誰かがそのトリックを見破り、「その主張はおかしい」と指摘をしない限り、誤った主張や意見が広まり続けるのです。

まとめ

①言葉の世界にも手品(マジック)がある
②SNSの普及により言葉のマジックを目にする機会が増加している
③言葉のマジックは指摘しないと広まっていく
注意事項:指摘し過ぎると面倒臭い人だと思われる

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