現代社会はインターネットやスマートフォンの普及により、様々な情報であふれかえっています。
そのため、どの情報が正しく、信頼できるのかを見極める必要性が高まっているのですが、正しい情報を見極めることはそう簡単ではありません。
そこで今、注目されているのがクリティカルシンキング(批判的思考)です。
クリティカルシンキングは、2020年世界経済フォーラムで「必要とされるビジネススキル」で第2位に選ばれており、世界中から注目が集まっています。
クリティカルシンキングを学ぶことで、「考える力」が身に付きますので、ぜひ習得を目指してください。
クリティカルシンキングとは
クリティカルシンキングは日本語では批判的思考と訳されており、物事を批判的に捉えようという考え方です。
批判的というと、誰かの考えを否定するなど、悪いイメージがあるかも知れませんが、批判とは「物事を正しく評価する」という意味です。
そのため、クリティカルシンキングは、「物事を正しく評価するための思考法」と言えます。
批判というと攻撃的でマイナスイメージになりがちですが、批判は物事を見極め、良い状態に近づけるために重要です。
クリティカルシンキングの必要性
様々な情報があふれている現代社会では、その情報が正しいかどうかを評価し、見極める能力が必要です。
特に多くの人が「当たり前」と思ってしまっていることに落とし穴があり、「当たり前」を疑えるかどうががクリティカルシンキングの第一歩です。
例えばネットニュースで犯罪が取り上げられるたびに「最近は犯罪が増加している」といった意見が見受けられます。
しかし、警視庁発表の犯罪統計によると、実際は殺人事件や凶悪犯罪などの多くの犯罪は年々減少しており、治安は良くなっています。※コロナの影響や1~2年単位の誤差は除く。
つまり、本当は犯罪が「減っている」にも関わらず、多くの人が「増えている」と思っていて、その結果「増えているから厳罰化しよう」や「増えているのは教育が悪いからだ」といった、誤った主張が導き出されているのです。
正しい情報は「犯罪は減っている」ですので、これを先ほどの主張に当てはめると「犯罪が減っているから厳罰化しよう」や「犯罪が減っているのは教育が悪いからだ」という主張をしていることになります。
このように「前提条件」が誤っていると、誤った結論が導き出されてしまうため、不確かな情報であふれる現代社会では、前提条件を批判し、物事を正しく評価する思考が必要といえます。
ロジカルシンキングとの違い
補足としてロジカルシンキング(論理的思考)とクリティカルシンキングの違いについて説明します。
ロジカルシンキングは、物事に筋道を立てて考える思考法です。
先ほどの例でいうと、①近年犯罪が増加している、②刑の厳罰化は犯罪の抑止力になる、③よって刑を厳罰化すべきだ、といった主張が筋道の立った論理的な思え考です。
一方でクリティカルシンキングは、「①本当に犯罪は増加しているのか?」や、「②刑の厳罰化に抑止力はあるのか?」「③厳罰化で問題は起きないのか?」といった、疑問を投げかける思考法です。
この2つの思考法はどちらか一方ではなく、互いに組み合わせることで、より正しい意思決定や問題解決が可能となります。
まとめ
①クリティカルシンキングとは物事が正しいかどうかを評価する思考法
②前提条件が誤っていると、誤った答えが導き出される
③ロジカルシンキングとの組み合わせで有効性が高まる